長い夏の終わり…オリーブ収穫体験(ヨルダン・りん)

Farm Report Vol. 5  Samira Farm in Jordan

 

permacultute dudeである語学学校の先生のファームに訪問。先生は農家出身でパーマカルチャーに関心を持っている。今回はオリーブ摘み体験をさせてくれるという!ヨルダンも含め地中海に近いこの地域は、オリーブの生産が盛んでそこらじゅうにオリーブが植わっている。オリーブ収穫を手伝えるなんて貴重な機会。嬉しい!

olives

 

 

ロケーション

ヨルダン北部のAs_Sarif(アッサリーフ)という町。ヨルダンの第三の都市Irbidの近く。

plz ignore my flags..

 

オリーブ摘み体験✨

畑にはオリーブの木々が。土質は、水をかけると粘土のようにまとまる。サラサラしているほうが土の中に空気や水分が行き渡ってよいので、まだ土の改良が必要だそう。


 

オリーブの手入れは年に5回ほど。雑草の除去、剪定、オリーブ摘み、収穫後の枝の剪定をするくらい。水をやる必要は一切ない。雨の水だけで良くて、人工的に水をあげないほうが純粋なオリーブオイルになり高価になるという。厳しい夏を乗り越え、秋になり最初の雨が降ってから収穫するのがベストシーズンだといわれているが、そのあと待てば待つほどオイルが多くとれるという。このファームでは後者の方法をとっている。訪問時期は11月下旬。秋の始まりを告げる冷たい雨が降って数週間たった頃だった。

 

オリーブの木の下にシートを敷き、数人がかりで一つの木に集まり摘んでいく。摘むというよりも、枝の奥を掴んでそのまま下にスライドさせて実を落とすような感じ。オリーブを落とす音は雨音みたいで面白い。収穫中にラップを歌い出す人たちや、畑を駆け回る子どもがいて、こういう時間がすごく好き。

 

ランチ🌞

お昼休憩。ファラフェルサンドイッチと紅茶がふるまわれる。雑談しているとmijwizという伝統的な縦笛を吹く親戚がどこからともなく現れ、さらにどこからともなく現れた隣で男の人が歌う。その人たちを前に一人、二人と手をとり、リズムに合わせてステップを踏み始める。それに追従する人たちがまた一人、二人と増えていき、和が広がっていく。dabkaが始まる。

dabkaのステップは地域ごとに違うそう。この地域は地理的にシリア南部に近いから、その人たちと文化的に共通点が多いという。言うまでもないが、国境は西洋諸国が恣意的に引いている。

dabke

午後の作業、パーマカルチャーを考える

引き続き収穫作業を進める。休憩時、ファームに来ていた人がこんなことをおっしゃっていた。

「パーマカルチャーに興味のある若者って増えているね。でも今やコマーシャライゼーションされている。講座では高額な受講料を請求する機関がほとんど。中身は昔の知恵を集めてるだけなのに。」

たしかに日本もヨルダンもパーマカルチャーの講座やツアーって安くなかった。持続不可能で大量生産型の社会に一石を投じる意味があるパーマカルチャーも、なんだか商業化されちゃうんだなあと思う。でも、ものに付加価値をつけるっていうのは悪いことではないと思うし。資本主義から生まれた知恵って、どこまでが行き過ぎで、どこまでが活用できることなのか今も考えている。。

ディナー🍽

夜ご飯は先生のご実家でふるまってくれた。お客さん用出入口から居間に入る。赤・緑・黒のこの地域では馴染み深い配色のクッションのあるソファに腰掛けると、先生の兄弟の最年少の男の子がアラブコーヒーを注いで渡してくれる。コーヒーは苦手な私でも、この一口で飲み干せるくらい小さなカップに入ったカルダモンの香りするコーヒーはなんとか飲める。そして、最年少が配膳をするのは日本でも同じだなあと思う。

キッチンで料理しているのは誰かというと、女性たちである。キッチンと居間は完全にセパレートになっていて、そこで働いている女性たちはお客さんからは見えない。しかも料理を運ぶのは大抵その家の男性たちで、女性たちと客人が一緒に食事をすることはあまりないそう。それが防犯機能になっているのかもしれない。この家では、先生が家族を紹介するといって女性たちも居間に呼んでいたけれど。

kan zaki katir!!

さて、運ばれてきたのは、Kabsaというお肉、野菜、ナッツが入っているスパイスのきいたライスと、チキン、パセリのきいた角切り野菜のタッブーレサラダ。ヨルダンの食事は、特にこういう訪問客がいる場合だと、写真のように銀色の大皿に載せられてバイキングみたいな形式になっていることが多い。お客さんが増えても取り皿を増やせば済むから気軽な感じがする。

オリーブオイル製造所

夕食後は、収穫したオリーブを近所の工場でプレスしにいく。完全に日が落ちた夜だけど、男たちでいっぱいなことにびっくり。お父さんについて来たであろう子供も元気よく走り回っている。小さなお店もあってお菓子も売っているようだ。待合室のようなところもあった。

袋に詰めたオリーブをここに出していく。

オリーブの実をつぶして、オイルにするまで数分ほど。

出来立てのオイルの試飲もしてみたけど、いくら新鮮でもただの油なので、単体では美味しいとは思えない(笑)

 

olive oil

 

harvest!

難民キャンプ

帰りがけ、たまたま難民キャンプを通った。でも先生にいわれないとキャンプだとわからなかった。家や商店があって、何の変哲もない町の中だと思った。中東戦争からもう数十年経っているから、簡易的なテントでなくて当然だともいえる。

一見、名ばかりで、難民たちはこの家で不自由ない生活をしているように見えるかもしれない。でもここに住む人は土地を持っていない。そして、この場所を上空からみると、家々は長方形のコンクリートの塊みたいになっている。つまり家同士の隙間はほとんどなく、永続的に住む場所として建てられたのではないことがわかる。また、この地域の学校は国連によって運営されている。

refugee camp

町の中の壁には、アラファトが巻いていたようなクーフィーヤや、エルサレムのアルアクサモスク、BDS運動のマスコットキャラが描かれている。パレスチナからの難民だ。パレスチナからの難民は、登録されている人数だけで28万人以上もいるという。

ヨルダンには、170万人以上の難民がいる。パレスチナ、シリア、イエメンなど周辺地域から難民が押し寄せている。日本だとたった一握の人しか難民として認定されないから、難民なんて教科書やニュースの中の違う次元の話になっている。でもヨルダンには、日常の中に当たり前に難民がいる。たしかに紛争は起こっていて、その中で人々が生きていることを幾度となく感じる場所だ。

 

(りん)